003 jyousyahissui
jyousyahissui
今回のコレクションテーマ「盛者必衰」は、僕にとって最も美しい日本語のひとつであり、同時にdadaïsmeの根底に流れる思想と驚くほど親和性の高い概念だと感じています。
このテーマに向き合うにあたり、文献こそ多くは残っていないものの、可能な限り当時の時代へ遡り、その空気を辿りました。鎌倉という武家政権が成立した時代、『平家物語』に描かれた戦乱と栄枯盛衰を読み解きながら、勝者(盛者)であっても、時間の流れの前には朽ち、姿を消していく──その思想は、ニヒリズムという形でdadaïsmeが数百年後に言語化する哲学を、すでに千年前の日本が示していた証左ではないか、そう感じさせられました。
振り返れば、ロシアや中東で続く紛争、そして世界情勢と結びついた現代社会を見つめる中で、過去のコレクションにおいても軍装の影を宿した服を作り続けてきました。それは意図というより、無意識の底に「戦争」という価値観が長く沈殿していたことに、改めて気づかされる作業でもありました。
このテーマは長く胸の内で温めてきたもので、いずれ必ず形にしたいと願い続けていました。しかし、001/002同様、通常のdadaïsmeとは異なる制作アプローチをどう美意識へ昇華させるかに試行錯誤し、形になるまでに時間を必要としました。結果として、日本からドイツへ制作拠点を移したことで、自分の中にもうひとつの価値観が育ち始めた“いま”という瞬間に、このテーマと対峙できたのは必然だったのかもしれません。
移住して強く感じたのは、国民性や文化といった表面の差異ではなく、同じ第二次世界大戦の敗戦国でありながら、日本とドイツが歩んだ歴史解釈・国家観・社会の成熟の方向性が、あまりにも異なるという事実でした。過去への向き合い方は、その国の美学や倫理、未来への視点までもさりげなく映し出してしまう。そうした歴史の縦軸と、現在の世界情勢という横軸が交差する場所に、自分自身の制作テーマが浮かび上がっていったのです。









