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WWⅢ | dadaïsme

WWⅢ

ファッションにおける「ミリタリー」への陶酔は、デザイナーにとってほとんど宿命のようなものだと思います。戦場のユニフォームは、常に美と暴力、秩序と混沌、合理と感情の狭間に存在してきました。それはまるで「破壊の中にしか再生はない」と告げるように。

僕にとってのインスピレーションの根幹、Virgil Ablohもその系譜にありました。彼が手がけた数々のコレクションには、現代の「戦場」を服として再構築したような、静かで強靭な詩情が漂っています。

「dadaïsme」という言葉を、僕は“無意味への信仰”として解釈しています。ダダは意味の破壊を通して、新たな意味の生成を目指した運動でした。だからこそ、ブランドとしてのdadaïsmeにおいて「ミリタリー」をどう再構築するかは、単なる装飾や引用ではなく、「意味を解体し、再構築する実験」そのものでなければならないと感じました。

そして、ある瞬間に気づいたのです。“無意味を恐れず作り続けること”こそが、最もdadaïsme的なミリタリーの表現なのではないかと。それは、混沌の中でこそ秩序が見えるという逆説であり、デザイン行為そのものへの問いでもあります。

テーマ「WWⅢ」は、「第三次世界大戦」という未来への警鐘でありながら、同時に「WWW.」——World Wide Webへのオマージュでもあります。僕らの時代の戦場は、もはや地上にはなく、デジタルの神経網の中に存在しています。情報、言葉、NFT、AI、そしてアバター。それらが互いにぶつかり合い、形を持たない「戦争」が日々更新されていく。

このコレクションは、そんな電脳戦争後の残骸の中で生まれた遺物のような存在です。NFTという無形の領域で生まれながら、あえて物質に回帰することで、「デジタルが人間を模倣し、再び人間に回帰する」プロセスを描いています。

三体のキャラクター、「武神」「γ」「Assassin」は、未来の神話を担う兵士たちです。彼らは次なる戦争の亡霊であり、祈りでもある。“戦うこと”が“生きること”と同義だった時代の、最後の証言者たち。

“War is peace. Freedom is slavery. Ignorance is strength.”
— George Orwell, 1984


僕たちは、いつの時代も新しい「戦争」を発明してしまう。ただ、その戦いが今後、コードと思想の中で起こることを願ってやみません。